2026.10.18 診療コラム

妊娠中・授乳中の歯科治療は大丈夫?赤ちゃんへの影響と注意点

こんにちは!THE DENTAL 歯科衛生士の廣島です。

妊娠中や授乳中の患者さんから、

「妊娠中に歯医者へ行っても大丈夫?」
「麻酔やレントゲンは赤ちゃんに影響しない?」
「授乳中に痛み止めを飲んでもいいの?」

といったご質問をいただくことがあります。

赤ちゃんへの影響を考えると、歯科治療を受けることに不安を感じる方も多いと思います。

しかし、妊娠中や授乳中だからといって、すべての歯科治療を避ける必要はありません。

むしろ、必要な治療を我慢することで、むし歯や歯周病が悪化してしまう場合もあります。

今回は、妊娠中・授乳中の歯科治療について、気をつけたいポイントをわかりやすくご紹介します。

① 妊娠中はむし歯や歯周病になりやすい?

実は妊娠中は、お口の環境が変化しやすい時期です。

主な理由として、次のようなことが挙げられます。

  • ホルモンバランスの変化によって歯ぐきに炎症が起こりやすくなる
  • つわりで歯磨きが難しくなる
  • 食事や間食の回数が増える
  • 嘔吐によって胃酸が歯に触れる機会が増える
  • 体調の変化によってセルフケアが不十分になる

特に妊娠中は、歯ぐきが腫れたり、歯磨きの際に出血したりする「妊娠性歯肉炎」が起こることがあります。

また、つわりで歯磨きができない日が続くと、プラークが蓄積し、むし歯のリスクも高まります。

そのため、妊娠中こそお口の健康管理が大切になります。

② 妊娠中はいつ歯科治療を受けるのがいい?

妊娠中の歯科治療は、妊娠週数や体調を考慮して行います。

妊娠初期(〜15週頃)

つわりや体調の変化が大きい時期です。

緊急性の低い処置は、体調が落ち着くまで待つこともあります。

ただし、強い痛みや腫れ、感染がある場合は、妊娠初期であっても必要な治療を検討します。

妊娠中期(16〜27週頃)

比較的体調が安定しやすく、予定している歯科治療を受けやすい時期です。

むし歯治療や歯石除去なども、体調に問題がなければ行えます。

妊娠後期(28週以降)

お腹が大きくなり、診療台で長時間仰向けになることが負担になる場合があります。

特に妊娠後期は、仰向けの姿勢によって血圧が低下することがあるため、診療姿勢や治療時間への配慮が必要です。

妊娠中期が比較的治療を受けやすい時期ですが、必要な治療を必ず中期まで待たなければならないわけではありません。

③ 歯科麻酔は赤ちゃんに影響しない?

むし歯治療や抜歯の際に使用する局所麻酔について、不安に感じる方も多いと思います。

歯科治療で一般的に使用されるリドカインなどの局所麻酔薬は、妊娠中でも適切に使用できるとされています。

また、麻酔を使用せずに強い痛みを我慢することが、かえって身体的な負担になる場合もあります。

ただし、妊娠経過や持病、使用する麻酔薬の種類によって判断が異なるため、必ず事前に妊娠中であることをお伝えください。

④ 妊娠中にレントゲンを撮っても大丈夫?

歯科のレントゲン撮影は、必要性を判断し、適切な撮影条件で行えば、妊娠中でも実施できるとされています。

歯科のレントゲンは撮影範囲が主にお口や顎の周囲であり、胎児が直接X線を受けるわけではありません。

ただし、必要のない撮影を行うことはありません。

THE DENTALでも、診断に必要かどうかを判断したうえで撮影を行っています。

妊娠中で撮影に不安がある場合は、遠慮なくご相談ください。

⑤ 授乳中に歯科麻酔をしたら母乳は捨てるべき?

「麻酔をしたら、その日は授乳しない方がいいですか?」

というご質問もよくあります。

一般的な歯科治療で使用するリドカインなどの局所麻酔薬は、母乳への移行が少なく、通常は麻酔後に授乳を中断する必要はありません。

そのため、一般的な局所麻酔であれば、麻酔後に母乳を搾って捨てる必要も通常ありません。

ただし、静脈内鎮静や全身麻酔を行った場合、使用薬剤やお母さんの回復状態に応じた確認が必要です。

授乳中であることは、治療前に必ずお伝えください。

⑥ 妊娠中・授乳中に痛み止めや抗生物質は飲める?

歯科治療後には、痛み止めや抗菌薬を処方することがあります。

妊娠中は、薬の種類や妊娠週数によって使用できる薬が異なります。

例えば、アセトアミノフェンは妊娠中の痛み止めとして選択されることがありますが、必要性を判断したうえで使用します。

一方、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどのNSAIDsは、妊娠中、特に妊娠20週以降には注意が必要で、妊娠後期には使用できないものがあります。

授乳中については、アセトアミノフェンやイブプロフェンなど、比較的使用しやすい薬もあります。

抗菌薬についても、ペニシリン系など授乳中に使用できるものがありますが、薬剤ごとに判断が必要です。

市販薬も含めて自己判断で服用せず、歯科医師や産婦人科医、薬剤師に確認するようにしましょう。

⑦ 妊娠中の歯周病は早産につながる?

歯周病と妊娠については、さまざまな研究が行われています。

一部の研究では、歯周病と早産・低出生体重児との関連が報告されています。

ただし、歯周病が直接早産を引き起こすと断定できるわけではなく、妊娠中の歯周病治療によって早産を予防できるという十分な証拠も確立されていません。

それでも、歯周病を放置せず、お口の健康を保つことはお母さん自身の健康にとって重要です。

妊娠中も無理のない範囲で歯科検診やクリーニングを受けることをおすすめします。

⑧ つわりで歯磨きができないときは?

つわりがひどいと、歯ブラシを口に入れるだけで気持ち悪くなることもあります。

そんなときは、無理にいつも通り磨こうとせず、できることから取り組んでみましょう。

  • ヘッドの小さい歯ブラシを使用する
  • 気分の良い時間帯に磨く
  • 歯磨き粉の香りが苦手なら無香料タイプを選ぶ
  • 一度に全部磨こうとせず、数回に分ける
  • 嘔吐した直後は水などで口をすすぎ、少し時間を空けてから歯磨きする

体調が悪いときに完璧な歯磨きを目指す必要はありません。

できる範囲で清潔な状態を保つことが大切です。

⑨ 出産後もお口のメンテナンスを忘れずに

出産後は育児で忙しくなり、自分のことが後回しになりがちです。

しかし、授乳中もむし歯や歯周病の予防は大切です。

また、保護者のお口の健康状態や生活習慣は、お子さんの将来のお口の健康にも関係します。

赤ちゃんのためにも、まずはお母さん自身のお口を健康に保っていきましょう。

THE DENTALでは妊娠中・授乳中の方もご相談いただけます

THE DENTALでは、妊娠中・授乳中の患者さんにも、体調やお口の状態に合わせた診療をご案内しています。

妊娠週数や授乳状況、服用しているお薬などを確認し、必要に応じて産婦人科の先生とも連携しながら治療を検討します。

また、クリーニングや歯磨き方法のご相談も承っています。

「妊娠中だけど歯ぐきから血が出る」
「授乳中にむし歯が見つかった」
「赤ちゃんへの影響が心配で歯医者に行けていない」

そんな方も、まずはお気軽にご相談ください。

まとめ

妊娠中・授乳中であっても、多くの歯科治療は適切な配慮のもとで受けることができます。

大切なのは、妊娠中・授乳中であることを事前に伝え、ご自身の体調や治療内容に合わせて進めることです。

赤ちゃんの健康を大切にするのと同じように、お母さん自身のお口の健康も大切にしていきましょう。

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