2023.11.01 診療コラム

摂食・嚥下について

皆様こんにちは。
本日は摂食・嚥下についてお伝えします。

摂食・嚥下障害の原因と症状

摂食・嚥下障害は、食物の摂取や飲み込む機能に問題が生じる状態で、原因は多岐にわたります。神経系の疾患や筋肉の障害、口腔内の構造異常や感覚障害などが挙げられます。脳梗塞、脳出血、パーキンソン病や筋ジストロフィーの患者さんにも、摂食・嚥下障害が見られます。

具体的な症状としては、食べ物が喉に詰まる感覚、食事中にむせる、水を飲んでも喉が渇かない、咀嚼・嚥下が遅い、唾液の誤嚥が多い、声がかすれる、濁る、無声化があるなどがあります。これらの症状が長期化すると、肺炎、栄養不良につながり、QOL(生活の質)が低下し、一般的な健康状態にも影響が出ることがあります。

早期に適切な診断・治療を行うことで、摂食・嚥下障害の悪化を防ぎ、合併症を予防することができます。

歯科医師が果たす役割と対応策

歯科医師は、摂食・嚥下障害を持つ患者さんの口腔機能を向上させるための重要な役割を果たします。その一例として、抜けた歯や欠損部分の補綴処置が挙げられます。適切な咀嚼が可能になることで、食事の楽しみが増し、栄養状態が改善されることが期待できます。

また、口腔ケアの指導を行い、口腔衛生の維持に努めます。口腔内環境が改善されることで、食物の摂取・嚥下が容易になり、合併症のリスクが減少します。さらに、嚥下リハビリテーションや舌の運動を指導することもあります。

歯科医師は他の医療スタッフと連携し、患者さんの状態やニーズに応じた治療・ケアを提供します。訪問歯科医療や、口腔機能診療、リハビリテーションを組み合わせることで、摂食・嚥下障害の解決に取り組むことが求められます。

歯周病と摂食・嚥下障害の関係

歯周病は、歯を支える骨や歯肉が炎症を起こす疾患で、摂食・嚥下障害と密接な関係があります。歯周病が進行すると、歯がグラグラしたり抜け落ちたりすることがあり、歯の欠損が生じると、食物を咀嚼できなくなり、摂食・嚥下障害の原因となります。

また、歯周病は口腔内環境の悪化を招くことから、摂食・嚥下障害の症状を悪化させる可能性があります。口腔内の衛生状態が悪いと、感染症や肺炎のリスクも高まります。

歯周病の予防と治療を行うことで、摂食・嚥下障害の発症や悪化を防ぐ役割を担います。定期的な歯科受診や口腔ケアを行うことで、歯周病と摂食・嚥下障害のリスクを低減させることができます。

口腔衛生管理で改善する摂食・嚥下機能

口腔衛生管理は、摂食・嚥下機能の改善に大きく寄与します。理由は、口腔内の清潔さが咀嚼や嚥下といった口腔機能に直接関係しているからです。具体的には、口腔内の衛生状態が悪いと、歯や舌の動きが悪くなり、食べ物を適切に咀嚼できなくなります。また、唾液の分泌が低下し、食物の滑りが悪くなることもあります。

口腔衛生管理を適切に行うことで、これらの問題が改善され、摂食・嚥下機能が向上します。治療方法としては、歯科医師や歯科衛生士による口腔ケアが一般的ですが、家族や介護スタッフとの連携も重要です。診療では、患者さんの食事内容や嚥下状態を評価し、適切な指導を行うことが求められます。
また、摂食・嚥下リハビリテーションが必要な場合もあります。これは、口腔機能の訓練や飲み込み運動の練習を通じて、機能の回復を目指す治療法です。予防策として、定期的な健康診断や歯科検査を受けることが大切です。

摂食・嚥下障害と栄養摂取の問題

摂食・嚥下障害は、栄養摂取の問題を引き起こす可能性があります。これは、食べ物を十分に咀嚼できないことで消化・吸収が阻害されたり、嚥下機能の低下により食物が食道や肺に誤って入り込むリスクが高まるためです。

特に高齢者や神経・筋肉疾患を持つ患者さんは、摂食・嚥下障害により栄養不足や低栄養状態に陥ることがあります。専門医療スタッフの適切な対応が必要であり、食事や栄養指導だけでなく、医療・介護の連携やケアプランの策定が重要となります。

食事と栄養のアドバイスがもたらす効果

摂食・嚥下障害のある患者さんに対して、食事と栄養のアドバイスが以下の効果をもたらすことが期待できます。

– 栄養バランスの向上

– 消化・吸収機能の改善

– 嚥下リスクの低減

– 生活の質(QOL)の向上

食事と栄養のアドバイスは、患者さんの現状とニーズに応じた具体的な内容であることが重要です。例えば、食べ物の形状や硬さ、口腔状態に合わせた食事提供や、栄養素の摂取量の調整などが挙げられます。さらに、患者さんと家族へのサポートやアドバイスも重要で、安全な食事環境を整えることで摂食・嚥下機能の改善やトラブルの予防に役立ちます。

高齢者向けの摂食・嚥下管理ポイント

高齢者の方にとって摂食・嚥下管理は重要な問題である。適切なケアが必要ですが、具体的な方法は以下の通りです。

– 栄養バランスの良い食事を提供することで、身体の機能を維持しやすくなる。

– 口腔ケアを継続的に行い、口腔内の清潔感を保つ。これにより、唾液分泌の低下や口腔環境の悪化を防げる。

– 適切な食べ物の形状や硬さに配慮し、嚥下しやすい食物を提供する。また、一般的な食事では困難な場合は、リハビリを受けることを検討する。

– 高齢者の咀嚼・嚥下力を評価し、適切な介護や治療を提供する。

以上のポイントを守ることで、高齢者の摂食・嚥下障害のリスクを軽減させることができます。

高齢者の摂食・嚥下障害予防のための運動

高齢者は、摂食・嚥下障害の予防のために運動を行うことが重要である。適切な運動によって、筋力や神経機能の低下を防ぎ、嚥下機能を向上させることができます。以下は、特に効果的な運動の例です。

– 顔や舌の筋肉を鍛える運動: 顔周りの筋肉や舌を鍛えることで、食べ物の嚥下がスムーズになる。

– 咽頭運動: のどを鍛えることで、食べ物や飲み物を正確に食道へ誘導する力が向上し、誤嚥のリスクが低減される。

– 呼吸訓練: 呼吸筋を鍛えることで、肺炎を予防し、嚥下の安全性が向上する。

これらの運動は、医師やリハビリテーション専門家の指導のもとで行うことが望ましいです。

摂食・嚥下障害のまとめ

摂食・嚥下障害は、高齢者の方にとって深刻な問題です。適切なケアや運動を行うことで、これらの障害のリスクを軽減することができます。具体的な管理方法としては、適切な食事、口腔ケア、食物の形状や硬さへの配慮、適切な治療の提供があります。また、運動によって嚥下機能を向上させることができます。以上の内容を参考に、高齢者の方が健康な日常生活を送れるようサポートしましょう。

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