2022.09.22 診療コラム

保険と自費の入れ歯の違い

皆様こんにちは。歯科衛生士の八田です。
本日は保険と自費の入れ歯の違いについてご説明いたします。

入れ歯を作ろうとする人が必ず直面する悩み、それは保険と自費のどちらを選ぶかということではないでしょうか。
この違いをしっかりと理解した上で入れ歯を作らなければ、後で激しい後悔に襲われてしまいます。

使える素材が違う

1 保険の入れ歯はプラスチックが中心
保険の入れ歯で主に使われる素材は、レジンというプラスチックです。強度を保つために床が厚めに作られています。
また、人工歯の部分は色や形の種類が限られています。

2 自費の入れ歯は金属やシリコンなど実にさまざま 
対する自費の入れ歯は、金属やシリコンなどを使用することができます。床部分に金属を使うことで、熱伝導が良いために食事が美味しく感じられますし、シリコンは見た目が歯茎に近いので審美性に優れていて、フィット感も抜群です。
両者ともプラスチックよりも薄く作ることが可能なので、口の中に入れたときの違和感が少ないです。
人工歯の部分についても、選べる色や形の種類が保険の比ではなく、元々の歯に合った入れ歯を作ることが可能です。

入れ歯の固定装置が違う

1 保険の入れ歯は金属で固定
保険の入れ歯は金属のバネで固定します。固定する歯に負担がかかって違和感があるだけではなく、歯に傷がついてしまうこともあります。また、部分入れ歯の場合は固定する歯を取り囲むように金属をつけますので、笑ったときに金属が見えてしまうこともあります。

2 自費の入れ歯は固定装置が目立たず、方法もさまざま
対する自費の入れ歯は、固定装置の種類も様々です。
ノンクラスプデンチャーという入れ歯は、固定装置が歯茎と同じ色をしているので、大きく口を開けて笑っても目立ちません。

メンテナンスの頻度に差はあるの?

1 保険か自費かにかかわらず、半年に1回は歯科医院へ
入れ歯のメンテナンスのために通院する頻度は、保険か自費かではなく、普段の入れ歯の扱い方、元々のお口の状態によって異なります。
少なくとも半年に1回の通院を勧めるところがほとんどです。

2 合わない入れ歯は恐ろしい病気のもと
どんな入れ歯でも、加齢による歯茎の衰えや、入れ歯自体の消耗が原因で徐々に合わなくなります。合わないものをそのまま使用し続けると、単に違和感があるだけではなく、口内炎や歯肉癌を発症することもあるのです。
保険や自費に関係なく、定期的に歯科医師に調整してもらうことが重要です。

入れ歯の寿命はどちらが長い?

1 保険の入れ歯はすり減りやすい
プラスチックでできている保険の入れ歯は、毎日の使用で変形しやすいという致命的な弱点があります。繰り返し歯とぶつかることでどうしてもすり減ってしまうため、やがて食事や発音に不具合が出るなど、入れ歯としてはうまく機能しなくなってしまいます。

2 自費の入れ歯は丈夫で長持ち!
自費の場合、金属やセラミックなどの硬い材料を用いることができるので、耐久性に優れ、比較的長持ちします。
ただし同じ自費入れ歯でも、歯茎と同色のシリコンを使用したノンクラスプデンチャーは、審美性に優れる代わりに耐久性はやや劣ってしまいます。

味覚への影響はどう違う?

1 保険の入れ歯は熱の伝わりがいまいち
入れ歯は「義歯床(ぎししょう)」と呼ばれる部分で、お口の中の歯ぐきや上顎などの粘膜を大きく覆います。このことによって粘膜には、熱い・冷たいなどの温熱刺激や、食品の質感などが直接届かなくなってしまいます。
その他にも舌が粘膜を触ることで感じる刺激や、食べ物を口に入れた際に感じる圧刺激などが妨げられてしまいます。
特に、保険の入れ歯で使用される素材は熱伝導率がよくありません。食事の際にさまざまな妨げがあるだけでなく、食べ物の温度を感じにくいことが、さらに美味しさを感じにくくしてしまうのです。

2 自費の入れ歯は熱伝導がよく食事も美味しい
自費の入れ歯の場合も、お口の粘膜を覆うことにはなります。しかし保険の入れ歯の素材よりも優れた素材を選択して作製することができるため、保険の入れ歯に比べて食事を美味しく感じることができます。
たとえば、柔らかい素材や粘膜にフィットする素材であったり、義歯床の部分がとても薄く作られてあったりといったように、お口への違和感をできるだけ少なく作ることができるのです。
そのおかげで熱伝導もあり、食感も感じることができ、舌などのお口の動きも妨げずに食事をすることができます。

装着時の話しやすさに違いはある?

1 保険の入れ歯は喋りにくく感じることも
保険の入れ歯に使われる素材には制限があり、「レジン」という素材が使われます。この素材は強度の関係上、ある程度の厚みが必要で、あまり薄くしてしまうと破折や変形の原因となってしまいます。
そのためどうしても厚みがある入れ歯になってしまうため、本来のお口の中よりも狭く、舌の動く範囲も狭くなるため、以前のように発音がしにくくなると感じる方が多いようです。

2 自費の入れ歯は発音に違和感が少ない
先にご紹介したように、自費の入れ歯は素材を選択することができます。そこで強度のある素材を選択すれば、保険の入れ歯よりも薄く作ることが可能です。
また、保険の入れ歯の作製工程よりも精密な検査や多くの段階を踏んで、一人ひとりのお口に違和感なく馴染むように作られます。
よって、保険の入れ歯よりも元のお口の状態に近づけて作ることができるため、発音に支障をきたすことは少ないとされています。

顔の見た目が変わってしまうことってある?

1 保険の入れ歯は顔の印象に作用しがち
保険の入れ歯はどうしても義歯床に厚みがでてしまいます。そのため、これまでの歯ぐきよりも厚みが増してしまい、外から見たときに顔の印象が変わったように感じることがあります。
また、入れ歯を作製する前に歯が無いままの生活をしていた場合や、歯ぐきの退縮や年齢的な衰えなどから口元にハリがなくなっていた場合は、保険の入れ歯を入れることで余計に顔つきの変化を感じるのかもしれません。

2 自費の入れ歯なら見た目への影響を抑えられる
自費の入れ歯は、精密な検査と試適を繰り返しながら作製します。薄くても強度が保てるような素材を選べるので、ぴったりと口腔内にフィットし、本人の歯のようにしっかり違和感なく食事することが可能です。
その結果、咀嚼時の刺激が歯茎にきちんと伝わることで、口まわりの筋肉の衰えを予防し、歯ぐきの退縮も防ぐことができます。
自費の入れ歯を使用するほうが、口元のハリが保たれるため、顔の印象が変わって見えるというような影響は少ないと言われています。

いかがでしたか?
ここまで見てきた違いを踏まえると、単に費用の安さだけで保険の入れ歯を選択するのは間違いだと言えるのではないでしょうか。
とはいえ自費入れ歯の作製には、非常にハイレベルな技術を要します。当院では入れ歯のプロフェッショナル集団「近藤義歯研究所」と連携し入れ歯を作製いたします。
また、当院では無料のカウンセリングも行なっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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